航空法以外の法律

電波法

皆さんが使っているドローンは電波法に違反していませんか?
電波法のポイントは、次の5つのキーワードです。
「2.4GHz帯域」「5.7 GHz帯域」「5.8 GHz帯域」「技適」「4G、5G」

ドローンを利用する方は絶対に知っておきたい基本から、失敗しないドローン選びに必要な知識まで分かりやすく解説していきます。

目次

  1. ドローンに使われている電波

    意外と知らないドローンで使用する電波の種類

  2. 技術基準適合証明(技適)

    技適マークがついていない機器を使用すると違法?

  3. 5GHz帯域の電波利用のルール

    資格と無線局の開局手続きが必要

  4. セルラー回線(4G、5G)の利用

    将来的にドローンに使用する電波の標準に

  5. まとめ

    問い合わせ窓口一覧

1. ドローンに使われている電波

混同しがちな「4G」や「5G」は、スマホに使われるセルラー回線電波を表す言葉。
これは世代(Generation)を表しており、電波帯域(GHz)とは異なるものです。
現在は、このセルラー回線とは別の電波帯域を使用していますが、将来的には上空での4Gや5Gのセルラー回線利用の開放に向けて、実証試験が進められています。

現在ドローンに使われている 最も主流な電波は「2.4GHz帯域」 です。
DJI Mavicシリーズや、Autel Evoシリーズなどに使われ、ドローン以外ではWi-fiや無線LAN、Bluetoothや電子レンジなどにも幅広く使われている電波です。
伝送が比較的低速である反面、障害物を回り込んでより遠くまで繋がる特徴があります。

つぎに、 「5.7GHz帯域」と「5.8GHz帯域」、2つまとめて「5GHz帯域」 と言われることもあります。
FPVドローンレース用に使用されることが多く、産業用ドローンに使用されている場合もあります。
伝送が比較的高速である反面、障害物の干渉を受けやすく、伝送距離が短いという特徴があります。
レースでは、高速で飛行するドローンからゴーグルに届く映像伝送速度の遅延(ラグ)を極力少なくする必要があるため「2.4GHz帯域」より「5GHz帯域」が選ばれているということです。

これらの帯域の電波は、限られた周波数の中で、ドローン以外にも多くの機器で使用されているため、 無許可で利用できるわけではありません。
それでは、それぞれの帯域を利用するためのルールについて説明していきます。

2. 技術適合証明(技適)

皆さん、 技適(ぎてき) という言葉は聞いたことがありますでしょうか?
「2.4GHz帯域」は、この技術適合証明を取得した機器であれば免許などの必要がなく利用できます。
逆に、技術適合証明を取得していない機器は、免許取得や無線局の開局といった手続きを行わずに電波を使用した場合、違法となる恐れがあります。
技適を取得した機器かどうかを確認するには、機体と送信機(プロポ)のこのマークをついているかどうかで確認できます。
引用:総務省(https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/)
購入前の場合は、商品説明に記載があるか、ない場合は販売元に必ず確認しましょう。
豆知識…技適は2.4GHz帯域の機器のみ注目されがちですが、5GHz帯域の機器や携帯・スマホ等、電子レンジやラジオなど、原則としてすべての無線通信機器(一部の特例を除く)に技適の取得が求められます。これらの機器の輸入品を使用する場合にも 技適マークの有無を必ず確認をしましょう!

3. 5GHz帯域の電波利用のルール

さて、次に5GHz帯域の電波を使用するドローンの利用のルールを説明していきます。
冒頭で、FPVドローンで利用されるケースが多いことをお伝えしました。
そもそもFPVとは「一人称視点=First Person View」の頭文字です。つまり、操縦者がドローンから見た視点を見ることを指しています。
FPVドローンの映像は通常の空撮に比べて、迫力や没入感が得られる映像を撮影することができ、非常に人気が高まっています。



※誤解されることが多い注意点
ドローンと送信機は電波を発信しますので、技適が必要ですが、一般的なFPVゴーグルは電波を受信するのみで、発信する機能がない場合が多く、このように電波の発信機能がついていない機器には技適は必要ありません。

5GHz帯域の電波を使用するドローンの利用には、国家資格と無線局の2つの手順が必要です。

まず、国家資格は、 次の2つのいずれかの資格等級以上の資格 を取得する必要があります。

➀第三級陸上特殊無線技士
 受験方法:公益財団法人日本無線協会が開催する試験を受験
 合格率:70~80%程度
 試験日程:例年は年3回開催
 受験料:5,000~6,000円

②第四級アマチュア無線技士
 受験方法:公益財団法人日本無線協会が開催する試験を受験
 受験方法:70%前後
 合格率:70%前後
 試験日程:例年は年1回
 受験料:5,000~6,000円

※いずれも本試験と別に、講習受講による養成課程を経て資格を取得する方法もあります。

なお、②第四級アマチュア無線技士は、個人的な趣味や訓練などの利用に限られており、営利目的などの商用利用することが認められていないため、注意が必要です。

次に、資格に応じて、 それぞれ次の無線局免許が必要 となります。

➀第三級陸上特殊無線技士…無線局免許(携帯局)
②第四級アマチュア無線技士…アマチュア無線局免許

特に①の無線局免許の申請では、電波の種類、技適の有無と種類、出力などにより申請書や手数料が異なりますので、申請前に管轄する総合通信局への相談をおすすめします。
いずれの場合でも、相応の時間と手間が掛かりますが、混線による事故や他機器への影響を防止するため、しっかりとルールを守って運用しましょう。

FPVドローンを利用して空撮したいけど、手続きが面倒という方には、2.4GHz帯域で技適取得済みの「DJI FPV」を利用するのがオススメです!
2.4GHz帯域のドローンで技適取得済みの空撮用FPVドローンの例

4. セルラー回線(4G、5G)の利用

これまで解説した電波帯域の他に、通信事業者(NTTやKDDI、Softbankなど)が提供する4G、5Gといったセルラー回線の利用拡大も進んでいます。
セルラー回線を利用することで、ドローン・送信機間の接続に依存せず、ドローン・送信機がそれぞれ基地局を介して通信し、それにより将来的には地球の反対側からでもリアルタイムの操作が可能になるというものです。

ご存じのとおり、飛行機の機内モードがあるように通常上空でのセルラー回線利用は認められていませんが、通信事業者を通じ、1週間ほどの手続きを行うことで、試験的に利用することが可能となっています。
引用:総務省(https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/uav/index.htm)
また、NTTdocomoはすでに「LTE上空利用プラン」を開始しており、回線やSIMカードの提供を行っています。
引用:NTT docomo(https://www.cellular.docomosky.jp/)
市販されている一部のドローンにはSIMスロットがすでに実装されており、将来的な実用が可能な仕様に備えています。
今後、ドローンで利用する電波のスタンダードになる日はそう遠くないかもしれません。

5. まとめ

現在の電波法の規制について解説してきましたが、特に5GHz帯域の利用にあたっては、許認可が煩雑で難しく、まだ不安な方もいらっしゃるかと思います。
また、 あいまいな理解のまま運用してしまい、実際には違法だったケースもあります。
総務省では各地方に 総合通信局 相談窓口を設置しています。
そのような事態にならないためにも 事前に相談 して、しっかりとルールを守り安心安全なドローン利用をしましょう。
引用:総務省(https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/fees/other/commtab1/#kanto-bt)