1. 道路交通法の範囲
まずは道路交通法が適用される道路の範囲について整理しましょう。道路交通法では、大きく 次の3つを道路として定義しています。
➀道路法の定義による道路
一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道
②道路運送法の定義による道路
専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で①以外のもの
③一般交通の用に供するその他の場所
この部分はたびたび疑義が発生していますが、門扉などが無く、誰でも通れる状況にあれば該当すると解釈されることが一般的で、私道が含まれる場合もあります。
ポイントは、
①公道だけではなく、私道なども含まれる。
②車道だけではなく歩道なども含まれる。
という点です。
これらの部分で次のドローンに関する規制が適用されます。
2. ドローンに関する規制
ドローンを利用するうえで、道路交通法と係る代表的なケースとして次のパターンが想定されます。1.ドローンは道路を通行しても良いか?
現行法では、道路を通行することが許されるドローンはありません。
今後、空飛ぶ自動車の開発が進めば道路交通法が改正される可能性もありますが、現状では第76条の道路における禁止行為など様々な条文に該当し、違反となる可能性があります。
2.道路上でドローンを離着陸させて良いか
答えは、「必要に応じて道路使用許可を取ることで、道路上での離着陸」が認められます。
道路交通法では、ドローンの離発着に関して道路使用許可が必要なケースを次のように定めています。
・道路において工事や作業をするもの
・一般交通に著しい影響を及ぼすような行為
道路上での離発着のほかにも、道路の横断などにより一般交通を止める必要がある場合なども道路使用許可が必要です。
道路使用許可の申請方法は次項の「道路使用許可について」で解説します。
3.道路の上空をドローンが飛行しても良いか
答えは「道路交通法においては、原則として飛行しても問題ない」です。
ですが、航空法などによって規制を受ける場合もありますので、注意が必要です。
※航空法における道路上の飛行に関するルールはコチラを参照ください。
道路交通法における道路の上空のドローン飛行については、警視庁からの通達で次のとおり示されております。
無人航空機に係る道路使用許可についての基本的な考え方 (警察庁丁規発第97号、令和3年6月30日) 抜粋
道路の上空において無人航空機を単に飛行させるという行為については、当該行為のみをもって、道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるとはいえないことから、原則として、道路使用許可を要しない。
他方、道路において、無人航空機の離発着、操縦及びこれらに付随する作業を行おうとしたり、無人航空機の飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起するための補助者の配置、無人航空機の飛行を周知するための立看板等の工作物の設置等を行おうとしたりする場合であって、当該行為が、道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれのあるときのほか、無人航空機を利用して、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような撮影等を行おうとする場合については、その具体的な内容に照らし、周辺の道路交通状況等を勘案した上で、道路使用許可の要否を判断するとともに、当該行為の公益性と交通の妨害による支障とを比較衡量した上で、道路使用許可の可否を判断すること。
(警察庁丁規発第97号、令和3年6月30日)
留意事項
道路使用許可の可否の判断に当たっては、航空法に基づく措置の内容を参考としつつ、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付すること。
ただし、第三者の上空で無人航空機を飛行させないようにするための措置の要否については、地方航空局長によって判断されるものであることから、その判断を尊重し、不必要な条件を付することのないよう留意すること。
3. 道路使用許可について
道路使用許可が必要なケース は、先ほどの通達では次のとおり想定しています。1. 次の場合で、道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害のおそれのあるとき
・道路において、無人航空機の離発着を場合
・道路において、操縦及びこれらに付随する作業
・無人航空機の飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起するための補助者の配置
・無人航空機の飛行を周知するための立看板等の工作物の設置
2. 無人航空機を利用して、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような撮影等を行う場合
次に
道路使用許可申請が許可される基準 についてですが、道路交通法では次のとおり定めています。
(道路交通法第77条第2項 抜粋)
一 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。
二 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき。
三 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき。
申請・相談窓口は各地域を管轄する警察署 です。
申請書類の書式や必要書類、手数料などは各都道府県警の警察署HPで確認することができます。
4. まとめ
道路交通法の規制について解説してきましたが、違反する飛行計画ではないか、交通の妨げにならないかを悩んだら、 まずは管轄の警察署へ相談 し、必要に応じて道路使用許可を取得するなど、ルールを守って運用しましょう。なお、道路の上空を飛行させる場合は、 道路交通法以外にも航空法などのルール についてもしっかりと確認しましょう。
※航空法における道路上の飛行に関するルールはコチラを参照ください。